すごく長く感じた授業があっという間だったような気がした。
長く感じたけれど、終わると、もう終わりか。なんて少しガッカリするような。
いればいるほど心臓が飛び出そうであいつとなんかいたくないと、気持ちバレてしまうと、そう思うけど
いなくなったらいなくなったで嫌で嫌で。。。でもあいつがいると上手く話せなくて。
そんな気持ちが沢山頭の中をグルグルした。
いつでも複雑なこの気持ち。こういう気持ちも、好きなのかもしれない。
それからどれくらい経ったのだろうか。
あいつはいつも隣にいる。でも教科書を一緒に見るなんて奇跡はもうない。
いつも白紙だったプリントだってちゃんと書いているし、先生の話だってちゃんと聞いていて
きっとMDウォークマンはいつものように持って来てはいるんだろうけど
授業中に聞くなんてこと、もうなくなった。
真面目になったような気がするけれど、見た目は何も変わっていない。
クラス皆の態度も変わっていない。私も気持ちも変わっていない。
時々あいつが貧乏ゆすりをする。きっといつもと違うことをしてるからイライラしているのか。
やっぱり授業はあいつには合わないと。そう思った。
その貧乏ゆすりが静かな教室に響き渡る時が時々ある。
それを聞く度、皆の態度がまた急変して、ビクビクと少し怯えてしまう。
それを見ると私まで貧乏ゆすりをしたくなるほど、腹が立つんだ。
いつまでもそんな態度で、あいつはどう思っているのかわかる?
皆最低だよ。最低。
そんなコトバは言えるはずもなく、いつものように心にしまうだけ。
「田宮さん」
「はい」
「ココの問3、わかる?」
「たぶん・・・・2番だと思う。」
「どうして?」
「消去法でいけば、最後に5番と2番が残るんだけど、5番は引っ掛け。」
「そうなんだ。田宮さん頭良いーーー!!!ありがとう☆」
あいつに声をかけられた。
今度はちゃんと話すって決めたんだ。自分の中でそれはずっと決めていて。
自分にとったらちゃんと話せてなかったって思うけど
あの時のように何もコトバを発さず、冷たい態度じゃなくて、ちゃんとコトバにして話せた。
話した内容なんてこれっぽっちも覚えていやしない。
あいつの言葉を聴くのに精一杯で「ありがとう」ってコトバが嬉しくて嬉しくて、頭から離れなくて。
顔は真っ赤だと思い、また寝たフリをしてしまった。
あいつに気づかれてしまっただろうか。あいつに変な目で見られていないだろうか。
風がいつもより気持ちが良い。
ガンバレ、私。
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