この時まで私は家族とちゃんとご飯を食べていたし、お昼のお弁当だって作ってもらっていた。
「あら、今日はお弁当食べてないの?どこか体悪い?」
お母さんがお昼ごはんを食べていないことに疑問をもった。
「ちょっとね・・・・」
今日話した2言目。
話さないのは、あいつを気にしてしまう前からのこと。
団欒していても、私は特に話をしないし、ただ聞いているだけで。
今日の晩ご飯も食べる気になんてなれなかった。
いつも常連で見ているテレビ番組も見逃して、窓から見る外はもう真っ暗で
妹やお母さんの笑い声が聞こえて・・・私はあいつのこと考えて。
カチ・・・・カチ・・・っと時計の秒針だけが私の部屋に響く。
私のことを気にしてくれているのか、お母さんがやって来た。
「どうしたの?珍しいじゃない、、、一緒にご飯食べないの?」
「うん」
今日の3言目。
「そう・・・じゃぁ、お腹減ったら言ってね」
そう言うとお母さんはまた皆の所へ戻っていつものようにしていた。
この日からか。。。私が一緒にご飯を食べなくなったのは。
あいつと出会ってからなのか。。。
一目ぼれなのか、好きなのか、好きじゃないのか、ただ気になるのか。
やっぱりあいつのことを考えると気持ちは複雑になる。
自分で自分がわからなくる。泣きそうになる。
もし、私があいつのことを好きだとしたら
報われることはない。叶うこともない。伝えることもできない。難しい恋だ・・・・。
ただ席替えで隣に来ただけの女。あいつはそういう風にしか思っていない。目に見えてわかる。
消極的なんじゃない、マイナス思考なわけじゃない。
期待しちゃいけない恋なんだと、この時から思っていた。
好きになっちゃいけない人なんだと思っていた。
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