いつの間にかいつものクラスに戻っていた。

グループを作って内緒話をしているが、段々声が大きくなって

先生に怒られて笑って、先生のせいで黒板が見えなくて

こういう時だけ先生に「先生、黒板見えない、どけ」と偉そうな態度を取れる。

そんないつものクラスだった、なんら変わりのない。

あいつがいるのといないのでこうも違うか。

あいつだって、いち生徒。皆はそんなこときっと思ってはいない。

せっかく慣れ親しんだ教室によそ者を見るような、そんな目つきであいつを見て

怯えながら「出て行け出て行け」と目で訴えて。

そんなにあいつが嫌なのか。

そんなことを思うと段々腹が立ってきた。こんなクラスでと少し後悔した。

あいつをかばうわけじゃないけれど、あまりにもひどすぎると思・・・・



あいつが戻って来た・・・・



急に教室がシーンとなる。

皆の目線はあいつに集中する。

先生ですら、進めていた授業を止めてしまう。



「何?俺なんかした?」



誰も何も言わない。ただ見ていた。

何故だか泣きそうになった。怖いんじゃない、その涙じゃない。グっとこらえた。あいつが私の隣に座る。

授業が元に戻って先生が進める。でも生徒達はコロっと変えて静かになる。

窓からは気持ちの良い風が舞い込んでくる。

私の髪がそよぐ、あいつの髪もツンツンしているがユラユラと揺れていた。



「どうして・・・・そんな格好しているの」



しまった・・・・今日初めて発した言葉がまさかあいつに。

風があまりにも気持ちよすぎて軽い気持ちなってしまってつい言ってしまった。

ちょっとどころかすごくビビった。

私も皆と同じだ、体は嘘付かない。自分を哀れんだ。



「好きだから」



何もされなかった。ホっとした正直。

悪そうな格好をして、ただ皆と同じ制服なのにあいつが着ているだけで怖い。

そんなこと、ありえない。

しかもそんな格好をしてるだけで冷たい目で見られる。

でもあいつは“好きだから”という簡単な理由でまた呆然とさせられてしまった。

あいつはそう言うと、またいつものように低いベース音が鳴り響くくらい大音量でウォークマンを聞き始めた。





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