家に着いた時にはもう外は真っ暗で
あいつとコトバが交わせたことがきっと嬉しくて
外でずっとソワソワした気持ちを落ち着かせていた。
いつも行くコンビニに入って、いつも見ない本を立ち読みしてみたり
新しく入った新商品のお菓子や飴を買いもしないのにただジっと見てみたり。
梅とツナを買うはずだったオニギリが、今日はツナと五目味。
五目味は10円高い。10円の価値しかないのかと思うが、これが精一杯の嬉しさ。
あいつとコトバが交わせた人生最大の嬉しさ。五目味のオニギリ。
そんなことをしていたら、真っ暗になってしまったのだ。
歩く速度もきっと亀よりも遅い速さでトボトボと歩き
いつも歩かない道を通ってた記憶があるので、遠回りして帰ったのだろう。
家に着いても胸の高鳴りは収まらず、思わず笑ってしまった。
どれくらいぶりだろう、自分が笑ってしまうなんて。
あれだけ面白い番組を見ても笑えなかった私が、あんな些細なことで笑うなんて。
すぐ部屋に行って家族にバレないように笑顔を隠した。
隠す必要はないのだけど・・・・。
時計を見ると夜の6時52分。もうすぐ7時になる。
3時間以上も意味もなく外をブラブラしていたことになる。
あいつと過ごすと時間が早く感じるのか。それとも気のせいなのか。
恋をしても気持ちは何故か複雑だ。
無意識にあいつを好きだと今更ながら認めたくないのかもしれない。
そういう性格だからそうなるんだろう。
こんな時くらい素直になろう、素直になれる。あいつがいるなら。。。
いつの間にか今日は楽しい1日になっていった。
ただ放課後に、ただあいつに、ただ会えただけなのに。
いつも見ている番組を見て素直に笑えた。窓に反射した自分が少し好きになった。
五目味が美味しかった。1人でいても辛くなかった。
今日はぐっすり眠れた。
14>>>
|