局私は、君に恋というものをしていることに気づき、毎日君を想うようになります。



毎日会う食堂、たまにすれ違う廊下、時々聞こえる君の声。

全部全部、私の学校生活の全てが、君色一色に染まっていました。

それでも私はまだ、世界で一番好きだとか、最後の人だとか、想ってはいません。

いつもどおりの恋をして、いつもどおりに相手を想う、単なる片思いにすぎませんでした。

友達を迎えに来る君、いつの間にか一緒だった通学の電車。

友達と楽しそうに話す君、改札近くの横断歩道で、タバコに火を付けながら待つ君。





そんなある日、君と友達が話しているのがすれ違う廊下で少しだけ聞こえました。





それからでしょうか、私が君しか見えなくなってしまったのは。





友達の相談にのっているようでした。

ただ単に耳に軽く入ってきた君の言葉。

とてもしっかりした、自分の気持ちをハッキリ言った、ちゃんとした言葉でした。

今考えると、何でもなかったような、サラサラと流れてしまうような言葉だと想うけど

あの時の私にとって、とても偉大な人に思えました。

その時に、君に恋をした以上に、君を尊敬してしまいました。





苦しい苦しい君への恋の始まりです。

毎日の生活に君が新たに加わりました。

仕事をしていても、君への想いが溢れてきます。

学校にいたら、余計に溢れて、君のことばかり考えて、君を中心に学校生活を送ります。

君に会えなかっただけで、その日はずっと元気が出ませんでした。

君が機嫌が悪いと、嫌われたと、何度思ったかわかりません。



そんな毎日が巡り巡って2年も経っていました。



その間に君には彼女が何人かできていて、とても幸せそうでした。



夏休みや冬休みが苦痛でした。

週末ですら、私にはいらないものだった。



彼女のソバにいない間だけ、私が独り占めしてるような気がしていて





休みになると君に想われている彼女に嫉妬しました。





彼女なんかより、私の方が好きに決まってる、そう想いました。

君に会いたくて会いたくて仕方がなかった。





そんなある日、私に転機がやってきます。





新しい友達ができました。

その友達はタバコを吸う人でした。でも学校では吸えません。

学校で吸うために、隠れられる場所があり、そこにちょくちょく行っていました。

ただの付き添いで何度か行っていただけだったのだけど

そこに君もいました。

毎時間毎時間、授業終わっての5分休憩は、必ずその場所に行きました。

毎日通いました。君を一番近くで感じられた場所でした。



でもとてもとても遠い人でした。



君が友達と楽しそうに話す声、時々聞こえる彼女の話。

たまには耳をふさぎたくなって、聞こえないフリをして、その場を去り、泣きそうになりました。

ここまで好きになるなんて想ってもみなかった。



2年間、私は何をしていたのでしょうか。

2年間、私は君に近づくことができたのでしょうか。



君に会えるあの場所が、嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

でも辛くて辛くて、見つめるしかない私にとって、君が近くにいることが辛かった。

その場所も、段々人に知られてきて、好きな人の女友達も加わるようになります。

その友達は、私の友達でもありました。

好きな人と、時々楽しそうに話す友達が、嫌で嫌で、その時だけは、嫌いになりました。

たまたまいつも持っていたアメを、私は友達にあげていました。

それをまた、友達は好きな人にあげていました。

嫉妬しました。



「俺もちょうだい」



「ん、」



そんな単純な会話が、私の心を、深く傷つけました。

何でもないフリをして、友達の前ではそんなことを隠しました。

それが君の一言で、一気に距離が縮まるのです。

その日は、いつもの私のいる指定の場所に、好きな人が先着でいました。

その後ろで私は友達と一緒に話していて



「アメ持ってる?」



なんて聞いてくる友達に、いつものように手渡しました。

それを聞いていた好きな人が、またいつものように



「俺もほしいなぁ」



なんて言って、私があげたアメを友達は好きな人に差し出しました。

その時に好きな人は「いいの?」なんて聞き返し

振り返って私に言いました。





「いただきます」





私はただ、「どうぞ」というしかなかった。

嬉しくてしようがなかったし、これから先、起こる不幸なんて目じゃなかった。

君のたった一言が、こんなにも私には生きる糧になるなんて想ってもみなかった。





君が大好きになった。

君しかいらないと想った。

君以外、目に入れたくなかった。

良かった、君を好きになれて、本当に良かった。

そう想いました。

その日はずっと嬉しかったし、楽しかった。何でも素直に笑えたし、何でもできた。

それくらい、私にとってはかけがえのない、存在だった。

ただそれだけで、君をずっと好きでいられる自信があった。








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